製薬会社で研究をしているかずみんです。
今年もインフルエンザが流行りはじめました。
みなさん予防接種はお済みでしょうか?
私自身は小中高と学校を休んだことがないほどの健康児だったので、正直今までででインフルエンザの予防接種を受けたのは受験の年くらいです。
でも、製薬会社で働き始めて毎年予防接種を受けるようになり、その大切さを実感しています。
この記事では知っているようで知らないインフルエンザの基礎知識から、知っておきたいポイント、これからの予防接種などの情報盛りだくさんでお届けします!!
CDC(アメリカ疾病管理予防センター)は、インフルエンザに対する最良の予防方法はワクチンであり、生後6カ月以上のすべての人にワクチンを接種するように推奨しています。
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私は10月下旬にインフルエンザの予防接種を受けたのですが、正直日本人の5割が予防接種を受けているとは意外でした。
もっと低いと思っていました...
あなたやあなたの周りの人は予防接種を終えているでしょうか?
予防接種により健康な成人では70~90%くらいが発病を阻止できるといわれます。
これから予防接種を受けるという方、特に何も考えていない方、11月末までの接種をおすすめします。
結論からいうとかなりあります。
大きく分けて役割は2つ!
インフルエンザの症状が現れる「発病」※1を抑える効果と、肺炎や脳症等の重い合併症により、入院を必要とする「重症化」を予防することです。
※1 体内のウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現する状態。
かずみん
予防接種すれば『インフルエンザにかからない!!』と思っている方も多いようですが、それは勘違い! インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防する役割があるんですね。
予防接種は11月中がBetter!
日本では、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、1月末~3月上旬が流行のピークとなります。
流行のピーク時に予防接種の効果を発揮させるには11月中にワクチン接種を終えることが望ましいです。
11月中が難しい方も、可能な限り早く受けましょう。
かずみん
他の予防接種を受ける場合は、出来るだけ今回と反対側の腕に受けるようにし、接種間隔は1週間以上あけましょう。
遅くても12月上旬には予防接種受けてね!!
予防接種の効果は接種後2週から最大5か月程度!
季節性インフルエンザワクチンに関するこれまでの研究によると、接種後1週から2週間後にインフルエンザウイルスと戦う抗体が体内で上昇し始め、1か月後までにはピークに達し、3か月から4か月後には徐々に低下していくことがわかっています。
かずみん
1~3月に受験シーズンを迎える受験生は遅くても11月中に予防接種を受けましょう!!
ただし、医学的な理由により、医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません。
✔6カ月以上3歳未満 1回0.25mL×2回
✔3歳以上13歳未満 1回0.5mL×2回
子どもはワクチンで免疫力が低いため、予防接種を2回うけます。
2回接種でインフルエンザウイルスと戦う抗体がさらに上昇し、予防効果を高めます。
1回目の予防接種から4週間前後の間隔をあけて、2回目の予防接種を受けましょう。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、つい最近までお母さん体内にいたので、お母さんからたくさんの免疫をもらっています。
さらに、母乳で育てられている赤ちゃんは、毎日お母さんから栄養と一緒に免疫や抗体も受け取っているため、風邪やインフルエンザにかかりにくくなっているのです。
特に赤ちゃんは大人に比べて体力がなく、ウイルス等への抵抗力も弱いため、インフルエンザによって重症化する可能性があります。
インフルエンザによる重症化が気になるようなら、お医者さんに相談して接種を検討しましょう。
6カ月以上3歳未満の赤ちゃんは2回接種でしたね!
赤ちゃんと密接に関わるお母さん。
インフルエンザにかかってしまったら大変です。
また、外でウィルスをもらってきて赤ちゃんにうつしてしまう可能性があります。
お父さんを含め、身近に接する機会の多い人にも予防接種をおすすめします。
かずみん
大切な大切な赤ちゃん。
お母さん、お父さんを含め、身近に接する機会の多い人にも予防接種をおすすめします。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって、病原性をなくしたワクチンです。
妊娠中に予防接種をしても母体にも胎児にも影響は極めて低いとされています。授乳中の方も同様です。
妊娠中は体力が低下しやすく、風邪をはじめとする感染症にかかりやすいといわれています。
出産前後にインフルエンザにかかり重症化してしまうのを防ぐためにも、予防接種を受けられることをおすすめします。
妊娠中にインフルエンザの予防接種を受けることで新生児の抗インフルエンザ効果を示すとの報告もあります。
生後6ヶ月未満の赤ちゃんに対するインフルエンザ予防接種は認められていないため、妊娠中の予防接種はお母さんだけでなく赤ちゃんのためにもなるのです。
接種時期に関しても妊娠の全期間において可能とされています。
ただし、妊娠初期は自然流産の起こりやすい時期でもあることから避けたほうが良いとする意見もあります。
接種する場合は接種予定の医師に予め確認をしておくと安心でしょう。
ワクチンには防腐剤として有機水銀(チメロサール)が入っているものがあります。
チメロサールは妊婦にも小児にも問題がないとされていますが、この物質が含まれないタイプのワクチンもあるので、気になる方はお医者さんに確認するとよいでしょう。
ちなみにチメロサール含有のワクチンは1930年ごろから使用されていますが、妊娠女性に接種した場合にも安全性に問題はないと報告されています。
結論から言うと接種可能です。
インフルエンザワクチンの多くは鶏卵で培養したインフルエンザウイルスを使用しているため、わずかに卵由来のタンパク質が含まれています。
しかし、2011年以降に発表された研究データでは、卵アレルギーがある人ではインフルエンザワクチンの接種によるリスクがアレルギーのない人を上回ることはないという明確な結果が示されています。
たとえ重度の卵アレルギー患者であってもインフルエンザワクチンに含まれる卵成分はアレルギー反応を引き起こすほどではないため、卵アレルギーをもっている方でも接種可能です。
※重度の卵アレルギーの患者さんは、一度かかりつけ医にワクチン接種についてご確認いただくと安心でしょう。
以下に当てはまるひとは予防接種は控えましょう。
・明らかな発熱を呈している方
・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
・インフルエンザ予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことがある方
・インフルエンザの定期接種で接種後2日以内に発熱のみられた方及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
(予防接種実施規則;昭和33年9月17日厚生省令第27号(最終改正:平成28年6月22日厚生労働省令第115号))
結論はNO!
『昨年ワクチン接種を受けたから、今年は受けなくてもいい』と思っている方がいるかもしれませんが、インフルエンザワクチンの効果は最大5か月。
次の年にはその効力を失っています。
また、インフルエンザウイルスの株は毎年変化します。新しい株が同定されると、それらに対抗するために新しいワクチンが製造されるのです。
かずみん
世界保健機関(WHO) が推奨する株の中から、期待される有効性及びワクチンの供給可能量を踏まえた上で今年の製造株を決定し、製造しています。また、ワクチンの有効期限は最大5か月ということもあるので、毎年の接種が必要です。
以前まではインフルエンザは、主に感染者のくしゃみや咳により飛び散った、ウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫感染」か、ウイルスが付着したものを触った手指を介して感染する「接触感染」のいずれかによって広まると考えられていました。
最近の研究では、インフルエンザの感染者が咳やくしゃみをしていなくても、その患者の吐く息を吸い込んだだけで「空気感染」が起こる可能性が指摘されています。
感染者の呼気にも感染性のある微細なウイルスが含まれており、直接患者の咳やくしゃみを浴びなくても、同じ室内にいるだけでも、感染が起こり得るというのです。
インフルエンザ感染者が普通に呼吸しているだけで、ウイルスが吐き出され、それが感染を広げる可能性があるという研究結果もあります。
狭い空間での感染を防ぐには、こまめな換気を心がけ、インフルエンザに感染した可能性がある人は、できるだけ自宅で静養して人との接触を避けましょう。
1回2,000~3,000円程度かかるのが一般的なようです。
インフルエンザ予防接種が任意接種であることからも、保険の適用外となり、少しお高めですね。
予防接種費用に関しては市区町村によって公費負担されているところもあるので、お住まいの市区町村(保健所・保健センター)、医師会、医療機関、かかりつけ医等に事前に確認してみましょう。
インフルエンザを予防するワクチン接種以外の有効な方法としては、以下が挙げられます。
皆がエチケットとして咳やくしゃみをする場合は他の人に向けて発しない・マスク着用する・ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆うことに気をつけましょう。
また、鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗うことを心がけてください。
特に感染者がマスク等の飛沫感染対策を行うことが重要です。
手指や体についたインフルエンザウイルスを除去するのに流水・石鹸による手洗いをこまめにしましょう。
石けんと水が利用できない場合は、アルコール消毒も効果があります。
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるといわれています。
特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。
体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。
なかなか生活をするうえで難しいことではありますが、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
やむを得ず人混みの多い場所に外出する場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布製マスクを着用することをおススメします。
かずみん
薬局などで普通に売ってます。なお、不織布製マスクは、原則使い捨て(一日一枚程度)にしましょう。
かずみん
やはり毎年のワクチンの接種はもちろんのこと、十分な手洗い、うがいが大切ですね。 もちろん咳や鼻水は拡散しないようにティッシュで覆う、拭くなどして適切にゴミ箱へ。 また、人ごみを避けることも忘れないでくださいね。
貼るだけでOK!!痛みの少ない皮内(皮膚の表面から2mm以内)投与型季節性インフルエンザワクチンが2015年4月の段階で承認待ち段階です。
ノック式ボールペンのような特別な注射器を用いて、皮膚の浅い部分にワクチンを注入します。
皮内には免疫細胞が多いため、現在の皮下注射によるワクチン接種より効果が高まることが期待されます。
何より従来に比べ細く短い針を用いるので、痛みが少ないこと期待されています。
注射嫌いのかた、赤ちゃんなどにはとってもありがたい技術ですね。
現在日本で用いられている不活化ワクチンは、インフルエンザの発症予防と症状軽減には効果がありますが、感染そのものを防ぐ効果はありません。
一方で、弱毒生インフルエンザワクチンは感染そのものを予防します。
弱毒化したインフルエンザウイルスを直接鼻腔内に噴霧することで、インフルエンザ疑似感染状態をつくり、免疫を誘導します。
鼻腔内にシュッと噴射するタイプなので、こちらも注射嫌いの方には嬉しい予防法ですね。フルミストは既に海外では利用されていますが、日本国内では有効性・安全性についてのデータが少なく、まだ承認されてません。
希望すれば個人輸入をして患者に提供する医療機関において接種可能ですが、国内未承認の輸入品のため、接種による健康被害が起きたとしても、公的な救済は行われません。
その点はしっかりお医者さんと相談してみましょう。
✔ インフルエンザ予防接種は感染そのものを予防できるわけではないが、発病と重症化の低減に効果大
✔ インフルエンザ予防接種は11月までに
✔ 6カ月未満の赤ちゃん以外は、インフルエンザの予防接種を受けられる(一部対象外あり)
✔ 妊娠中・授乳中のインフルエンザ予防接種は、お母さんも赤ちゃんも発症時の症状軽減につながる
✔ 現在注射剤以外の予防接種法が研究されている
インフルエンザの予防接種は感染そのものを防ぐ効果はありません。
しかし、感染後の発病や、発病後の重症化や死亡の予防には大きな効果を発揮します。
6カ月未満の赤ちゃん以外はみなさん対象ですよ‼これから流行の時期を迎えるので、しっかり対策しましょう。
普段は医薬品開発の研究員として働く、いわゆるリケジョであるが、
自分自身の健康の秘訣は『1日1回は腹の底から笑うこと』だと思っている。
三度の飯とお笑いが大好きなアラサー女子。
焼肉とピッツァとチョコレートケーキでテンションが上がる。