子どもは絵本が大好き!
保育園でも子どもたちは絵本を見つけると「これ読んで〜」と絵本を持ってきたり、まだしゃべれない小さな子でも「あれあれ!」と指さして、お気に入りの絵本を何度も繰り返し読んでもらっています。
でも、絵本っていっぱいあってどれを選んだらいいか迷っちゃいますよね?!
保育園では子どもたちの育ちを考えて年齢や季節ごとに絵本を計画的に選んでいます!!
ここでは保育士がどんなことを大切にして、どんな絵本を選んでいるのか、実際の保育士さんに聞いてきた情報をこっそりと教えちゃいます!!!
このページの目次
ちょっとここでお勉強。
保育士 かずみ
ちなみに…
絵本はただ読み聞かせているものではないのです!
みこ
え!!そうなんですか?!
保育士かずみ
もちろん、最初は「絵本を読んでもらう」という受け身の体験からのスタートなんだけど…
徐々に「一緒に読んで楽しいね」など、絵本を通して人と人とが感情・表情・行動をかわしあう、心を通わせる!という相互作用ある関係が生み出されているの。
みこ
なるほど!
確かに大人が絵本の世界を純粋に楽しんだときって、子どももワクワクした表情を浮かべてる気がするな~。
保育士かずみ
そうそう!!目の輝きが違うよね~。
そこから、子どもたちは絵本の世界を“遊び”という形で表現し、その中で子どもたち同士や大人とその世界を共有していくようになるの。
みこ
ふむふむ。
保育士かずみ
遊びの中での豊かな想像力は、大人になっても人生を豊かにしてくれる大切な力なんだよ。
みこ
子どものころに想像力を養う経験は、とっても大切なんだね~。
保育士かずみ
そうそう!
だからこそ、絵本をなんとなく選んで子どもたちに読み聞かせるのではなく、大人が自らの豊かな感性を持って、絵本や物語の世界を一緒に楽しむことがポイントなの!
ワクワク心おどる絵本×豊かな遊び=心も体も大きく育つ!
出典:絵本から広がる遊びの世界
主語と述語がきちんと書かれていないなど、文章のおかしいもの。間違った日本語が使われていたり、汚い言葉が使われているものは避けましょう!
せっかく読んであげるのなら、聞いている言葉から自然に文体感覚が身に付くような美しい日本語で書かれている絵本を与えるべきです。
特に昔話には顕著に表れています!
昔話はさまざまな出版社から出されていますが
このような絵のものから、
こんなアニメ化されているものまで、たくさんの種類があります。
目がキラキラと描かれていたり、子どもの興味を引くように絵がやけにカラフルで原色のものだったり。さらには、物語の内容と違う絵が描かれているなんてこともあったりします!
0歳の赤ちゃんであれば、色や絵がシンプルでわかりやすいものもよいのですが、昔話を読むような年齢の子どもたちに、リアリティーに欠ける絵はふさわしくありません!
それはなぜか・・・
子どもたちは絵本を読むときにどこを見ているのか考えてみましょう。
大人になると、つい文字の方に目がいってしまいがちですが、まだ文字の読めない子どもたちにとって、絵本は絵が全てです。ですから、絵は物語を読み解く大きな手掛かりとなっているのです。絵から読み取れない絵本は「よい絵本」とは言えません。
いくら内容や文章がすばらしくても、絵がいい加減に描かれているものは避けましょう!
本屋の絵本コーナーには、
ボタンを押すとうたが流れる絵本や
「ピーポー ピーポー」と乗り物の音がでる絵本
携帯で電話がかけられる絵本など、おもちゃ売り場のような遊べる絵本がたくさん置いてあります。
そして、子どもたちはこのような絵本に夢中になります。
ですが、物語の内容は乏しく、美しい日本語が書かれているものではありません。
「このような絵本を子どもに与えるのはよくない」というわけではありませんが、絵本としてではなく、おもちゃの一つとして与えるようにしましょう!
https://mobile.twitter.com/alice_kan/status/770192047403888640
書店や雑誌などで書かれている絵本リストは、必ずしも子どもに読んであげたい絵本が高い評価を得ているとは限らないので、注意が必要です!
というのも、書店や出版社にとっては販売することが目的だからです。
いくらよい絵本だと思っていたとしても、売れなければ会社としては成り立ちません。
なので、絵本リストをいろいろ集めてみると、話題性を重視するために新刊を中心としていたり、「え!?」というような絵本が選ばれていることも多くあります。
販売を目的としている、書店・雑誌・サイトのお薦め絵本リストには、注意しましょう!
とはいっても、どうやってよい絵本を見極めたらいいのでしょう?
今までの話をふまえると
よい絵本とは・・・
『美しい言葉、豊かな言葉で書かれているもの』、
『想像力を書きたてる絵で描かれているもの』の両方を満たしているものです。
ですが、現在日本国内で出版されている絵本は約7500冊もあります。
「こんなにたくさんの絵本の中から選ぶのは難しい」という人も多いのではないでしょうか?
実は、簡単な見極め方があります!!
それは・・・
昔から長く読まれている絵本を選ぶことです!!
http://kinderland-jp.com/
一年間の絵本の新刊は約2000冊と言われています。
でも、一年後にそのほとんどが子どもたちに受け入れられずに、初版だけで絶版・休版という状態です。
そんな中で、10年、20年と生き残って出版され続けている絵本は、人の心に響く大きな力を持っているものです。だからこそ、重版され、売れ続けているのです!
なので、ページの終わりに記載されている発行日・第〇刷りなのかを確認しましょう!
みこ
それならとっても簡単だね~!
自分の幼いころに読んでもらった大好きな絵本を、今度は自分の子どもに読んであげ、絵本の世界を共有できるだなんて、とっても素敵ですね。
では、実際どんなどんなことを大切にして絵本を選んでいるのか、エピソードを交えながらオススメの絵本を年齢別にご紹介!!!
絵本は生まれて初めて出会う文化!
一緒に読み合うことで、自分のためだけに目や心を向けられ、大好きな人の声を聴きながら、同じ時間を共感する心地よさや嬉しさは格別!
いろんな本を読むというよりは、くり返しじっくりと1冊の絵本を楽しんでいます。
もこもこもこ
【保育園の子どもたちの様子】
くり返し読むことで、子どもたちは“ぱちん”と手をたたいてみたり、“ぱく”と口を動かしたりして楽しんでいる子どもたちです。
あめかな!
【保育園の子どもたちの様子】
雨の日に外を見ながら、「ざーざーざー」と絵本と同じ言葉を言いはじめた男の子。子どもの現実が絵本とつながっている!!と嬉しくなった瞬間です。
このように絵本の世界と雨という現実の出来事が重なっていく経験は、心を豊かにし、想像する力につながっていきます!
必ずしも遊びにつながるわけではありませんが、こうなったら楽しいかな~と予測しながら選んでいます。
がたんごとん がたんごとん
【保育園の子どもたちの様子】
子どもたちは電車が大好き!絵本を見ると「(でん)しゃ!(でん)しゃ!」と指をさして喜び、食い入るように見ています。
また、床に「がたん ごとん」と積み木を電車に見立てて走らせたり、長くつなげてみたりと、イメージを膨らませて遊んでいます。
くだもの
【保育園の子どもたちの様子】
絵本を見ている途中、急にたたたっと歩き出した女の子。どこに行くのかと思えば、他のリンゴの絵のかいてあるおもちゃをもってきて、”おんなじ”と満面の笑みで伝えてくれました!絵本のりんごと他のものが同じというのがつながった瞬間でした。また絵本を通して、大人と共感できたことがとても嬉しそうでした!
さらに、「さあどうぞ」と出されたものを、大人がパクっと食べる真似をすると、子どもたちも真似してパクっと食べたりと、模倣あそびを楽しんでいます。
子どもたちがより親しみをもって楽しめるように、生活していく中で身近なものを選ぶようにしています。
くつくつあるけ
【保育園の子どもたちの様子】
歩行ができるようになった子たちは、外で歩くのが大好き!!
この絵本を見てからは、“靴をはく”ことが楽しくなり、自分の靴を持ってくると“はかせて!”と笑顔で訴える子どもたちです。
おつきさまこんばわ
【保育園の子どもたちの様子】
保護者の方から、『帰り道にまん丸な月を見つけると「あっ!あっ!」と指をさしたり、「(こん)ばんわ~」と頭をペコっと下げたりするんですけど、なんなんでしょう?』とのお話しがありました。
そのお話を聞いて、絵本「おつきさま こんばんは」だ!!とすぐにわかり、最近この絵本を読んでもらうのが大好きなんですよ、とお伝えすると『そのせいだったんですね~』と納得され、それ以来帰り道に満月をみつけると「おつきさま こんばんはだね~」と共感しながら楽しんでいるそうです!
大好きな絵本を、大好きな人と共感できること とても素敵なことですね!!
絵本が楽しいものとなるように!
少しずつ自分の世界を広げていき、近くにあるものや事柄に興味を抱きます。
そのため、果物・野菜などの食べ物の絵本、電車や消防車などの乗り物の絵本、動物・虫などの絵本など、身近な人やものや出来事が出でくる絵本を用意しています。
どうぶつのおかあさん
【保育園の子どもたちの様子】
お散歩先や、お休みの日に保護者の方と出かけた動物園で出会った動物など、子どもたちが目にしたことのある身近な動物たちがリアルに描かれたこの絵本はみんな大好き。
「ガオーいた!」「パカパカ!」などとページをめくるたびに嬉しそうに反応が返ってきます。そして、ぞうのページではぞうの書かれたパズルを持ってきたり、お友だちの洋服に描かれていたぞうを指差して、『おんなじ!』と一生懸命に大人に訴えかけてきています。
しゅっぱつ しんこう!
【保育園の子どもたちの様子】
みんな大好き電車絵本!
とてもリアルなタッチで描かれた電車が次々に出てきて子どもたちは釘づけ!
特に電車大好きAくんは、「(でん)しゃ!しゃ!」と何度も何度もこの絵本を見ていました。そのうち「しゅっぱつしんこう!」というフレーズを覚え、大好きに。
積み木を電車にみたてて、「しゅっぱつしんこう!」と床を走らせてみたり、園庭ではフラフープの中に入って「しゅっぱつしんこう!」と走り出したりと様々なところにこの絵本が息づいていました。
ひまわり
【保育園の子どもたちの様子】
夏にピッタリの一冊。
「どんどこ どんどこ」と繰り返しのフレーズがとても心地よく、絵本を読んでいる時から、ついつい口ずさんでいたMちゃん。
庭に植えられたひまわりを見るたびに大人が「どんどこ どんどこ」と口ずさんでいると、Mちゃんも一緒に「どんどこ どんどこ」。もしかしたら、Mちゃんいとって、これが絵本と同じひまわりだということは、理解しているようで、いまいちむすびついていなかったのかもしれません。
そしてとうとう花が咲いた日。
Mちゃんのひまわりを見上げる表情といったら、見ているこっちまでも嬉しくなってしまうほどの目の輝き。絵本の世界と現実が結びついた瞬間でした。
がちゃがちゃ どんどん
【保育園の子どもたちの様子】
大人にとっては「おもしろい?」と思ってしまう絵本でもありますが、子どもたちは大好き!シンプルな言葉が並んでいることもあり、何度か読むうちに、この絵のフレーズはこれ!と覚えていて、ページをめくるたびに「かーん」「ぴーいっ」と大人と一緒にフレーズを言うことを楽しんでいます。
ぞうくんのさんぽ
【保育園の子どもたちの様子】
単純なやりとりが、このくらいの子どもたちにとってぴったりな1冊。
ある日どうぶつの積み木で遊んでいたSくん。そのうち、積み木を積み上げながら「いいとも いいとも」とつぶやいていました。次々に出会うどうぶつたちが、背中に乗っていく姿がとっても印象的だったようです!
物語の世界の入り口に立っている2歳児。
最初のうちは、一人で絵本の世界を楽しんでいますが、徐々にそれを2~3人の友だちと楽しむことができるようになり、さらにはもっとたくさんの友だちと同じ物語の世界を楽しめるようになっていきます。
絵本を通して大人や、友達とさまざまなことを共感し、物語の世界に入っていく楽しさを味わえるような、そんな絵本を選びましょう!
絵本の主人公になりきれる!
しろくまちゃんのほっとけーき
【保育園の子どもたちの様子】
本当に子どもたちに大人気の絵本。
なんでも大人のすることを真似してみたいこの時期。お手伝いをしてホットケーキをつくるなんて、とっても魅力的な内容で、子どもたちは釘づけ!
『ぽたん どろどろ ぴちぴち ぷつぷつ やけたかな? まだまだ』とホットケーキが焼けてくる様子は、ついつい口づさんでしまう程です。
そして、見終わった後はおままごとで再現!
フライパンに平たいお手玉を入れて焼いてみたり、焼けたホッとケーキをお皿の上に重ねておいたり、友ともだちと「おいしい!」と言って食べあったりと、友だちとやりとりをしながら楽しんでいます。
雨の日もなんだか楽しく!
コッコさんとあめふり
【保育園の子どもたちの様子】
梅雨の時期に選んだ一冊。
雨の降り続く日、この絵本を読むと「てるてるぼうずを作りたい!」と言ったRくん。一緒にてるてるぼうずを作り、コッコさんのようにつるしてみました。
それでも次の日は雨。
「はれますように」とRくんをはじめ、クラスのみんながお願いしていると・・・なんとその次の日は晴れたのです!
登園してきた子どもたちは「てるてるぼうずが晴れにしてくれたんじゃない?!」「うんうん!そうだよね!」とみんなの気持ちが一つになった瞬間でした。
イメージの世界が広がる!
コッコさんのおみせ
【保育園の子どもたちの様子】
この年齢の子どもたちはお店屋さんごっこが大好き。
最初は大人と「どうぞ」「美味しい」とやりとりしていたものが、どんどん「いらっしゃいませ!」「どれにしますか?」「〇〇で~す!」とお友だちと同じイメージを持ってやりとりできるようになってきます。
そんな子どもたちにとって、この絵本はとても親近感のもてる内容で、「こっこさん読んで~」と繰り返し読んでもらっている、大好きな一冊です。細部に描かれてているものもよく見ていて、「これブロックだね」「これはなんだろう?」とお店屋さんの品物に使われているさまざまなものを発見しています!
単純なやりとりをお友だちと!
おおきなかぶ
【保育園の子どもたちの様子】
誰もが知っている、50年以上読み継がれる絵本。
単純なやりとりのくりかえしで、「うんとこしょ どっこいしょ」のかけ声をついつい一緒に言ってしまう、子どもたちの大好きな一冊。
ある日公園にお散歩に行くと、地面から木の根っこのような長細いものが1mほど出ているのを見つけたTくん。力いっぱい引っ張ってみるけれど、ぜんぜん抜けず…。それを見ていたYくんも参加し、一緒に引っ張ることに。それでもぜんぜん抜けず…。その姿がとってもかわいくて「おおきなかぶみたいだね~」と声をかけると、「うんとこしょ どっこいしょ」と言いながら力いっぱい引っ張り始めた二人。「それでもかぶはぬけません。」とおおきなかぶごっこが始まっていました。
リズミカルな言葉が楽しい!
きょだいな きょだいな
【保育園の子どもたちの様子】
言葉がはっきりとしてきた子どもたちにとって、このリズミカルな言葉は大人気!
一度聞くとそのフレーズは印象的ですぐに覚えてしまっています。このお話を読むと、毎回「あったとさ、あったとさ。広い野っぱら、どまんなか~」とみんなで大合唱になるほど!
遊んでいるときにも、ついつい「あったとさ、あったとさ~」とうたのように口ずさんでいますよ。
スリルが楽しい!
三びきのやぎのがらがらどん
【保育園の子どもたちの様子】
トロルのページになると、その見た目から「こわ~い」と大人の後ろに隠れたり、顔を隠したりしながらも、気になって見ている大好きな絵本。
三びきのやぎのがらがらどんごっこも人気で、積み木で橋を作ると、その上を動物の積み木を歩かせ、「だれだ おれのはしをがたぴしさせるやつは!」とトロルやヤギになりきって、友だちとやりとりして楽しんでいます。
参考文献:絵本から広がる遊びの世界
いかがでしたでしょうか?
みこ
保育園では、さまざまな考えで絵本を選んでるんですね~。
テレビやスマホなど、一方的に強い刺激を与えられるものに囲まれている現代の子どもたち。
そんな中でも、親子が絵本を読みあうという時間は子どもたちにとって、かけがえのない時間ではないでしょうか。
絵本を読みあうことで、心を通わせ、豊かな想像力を育んでいけるよう、保育のプロが集う保育園での絵本選びをぜひ参考にしてみてください。
パンへの情熱は人一倍!!
「私の人生はパンで回ってる」と言ってもいいくらい、パンが大好き。
パンとともにHAPPYな人生を送っています!